サークルがラップドBTC「cirBTC」を発表——USDCの信頼性をBTCトークン化へ応用、機関投資家向け市場に参入
ステーブルコインUSDCの発行元サークルが、ビットコインと1:1で裏付けられたラップドBTC「cirBTC」の提供開始を発表。イーサリアムおよびサークル独自のArcチェーンで先行ローンチ予定で、透明性と中立性を武器にcbBTCやwBTCが先行する機関投資家向けラップドBTC市場に挑む。
サークル、ラップドビットコイン市場に参入
ステーブルコイン「USDC」の発行元として知られるサークル(Circle)は2026年4月3日、ビットコイン(BTC)と1:1で裏付けられたラップドビットコイン「**cirBTC(サークル・ラップド・ビットコイン)**」の提供開始を公式発表した。まずイーサリアムおよびサークル独自のEVM互換レイヤー1ブロックチェーン「Arc」での先行ローンチを予定しており、最終的にはマルチチェーン展開を見据えている。
cirBTCの技術設計:完全担保とオンチェーン透明性
cirBTCの最大の特徴は、**ネイティブBTCによる完全担保設計**にある。準備金はオンチェーン上でリアルタイムかつ独立して検証可能な仕組みを採用しており、サークルがUSDCで培ってきた透明性の哲学をビットコインのトークン化にも適用している。
機能面では以下の点が強調されている。
競争激化するラップドBTC市場
ラップドビットコイン市場はすでに複数のプレイヤーが競合する成熟した分野だ。
| 製品名 | 発行元 | 特徴 |
|---|---|---|
| **wBTC** | ビットゴー | 2019年創設、最初のラップドBTC。現在はビットゴーとジャスティン・サン氏関連コンソーシアムが管理 |
| **cbBTC** | コインベース | 2024年ローンチ。コインベースの信用力を背景に急速に普及 |
| **cirBTC** | サークル | 2026年4月発表。透明性と中立性を差別化軸に訴求 |
先行する競合製品が存在する中で、サークルはcirBTCを「機関投資家グレードのグローバル標準」として位置づける。規制当局との関係構築やUSDCの発行・監査実績を武器に、透明性と中立性を重視する機関投資家ニーズの取り込みを狙う。
Arcブロックチェーンとサークルの戦略的拡張
cirBTCの発表は、サークルが単なるステーブルコイン発行体から、より広範なデジタル資産インフラプロバイダーへと進化する戦略の一環でもある。
同社はすでに以下の展開を進めている。
cirBTCはこれらの非ステーブルコイン製品の中でも最も注目度が高く、USDCがそうであったように、機関投資家の間でBTCをDeFiエコシステム内で活用する需要の受け皿として機能することが期待されている。
日本市場への影響
日本では現在、三菱UFJ銀行や三菱商事などがブロックチェーン基盤の資産移転・国際決済の実証を進めており、機関投資家向けトークン化BTC製品へのニーズも高まっている。cirBTCが日本市場でどのように展開されるかは未定だが、金融庁の「暗号資産」規制の枠組み下でのラップドBTCの扱いが今後の焦点となりそうだ。
サークルはIPO(株式公開)を視野に入れながら事業の多角化を加速させており、cirBTCはその中でも特に象徴的なマイルストーンとなっている。