米FDIC、ステーブルコイン発行体の包括的規制枠組み案を発表——ジーニアス法に基づく第2弾、資本基準・カストディ要件・パススルー保険を明確化
米連邦預金保険公社(FDIC)が決済用ステーブルコイン発行体への包括的な規制枠組み案を発表した。ジーニアス法(GENIUS Act)に基づく第2弾規制として、準備金の裏付け基準、カストディ要件、パススルー保険の適用方針を規定。500億ドル超の大規模発行体には年次監査も義務付ける。
FDICがジーニアス法第2弾規制案を発表
米連邦預金保険公社(FDIC)は2026年4月7日、決済用ステーブルコインの発行体に対する**包括的な規制枠組み案**を公式発表した。トランプ大統領が昨年署名した「**ジーニアス法(GENIUS Act)**」に基づく国家的な規制整備の第2弾として位置づけられ、リスク管理や資本要件の基準を詳細に定めている。
規制案の主な内容
今回の提案では、以下の4つの柱から構成される規制枠組みが示された。
1. 準備金・償還に関する健全性基準
ステーブルコインの裏付けとなる準備金について、厳格な健全性基準を設定。発行体は常に1対1の裏付け資産を維持し、保有者の償還請求に確実に応じられる体制を求める。
2. カストディ要件の明確化
保険付き預金取扱機関(IDI)がカストディ(保管)業務を提供する場合の新たな要件を規定。顧客資産の分別管理と透明性確保が義務付けられる。
3. パススルー保険の適用方針
ステーブルコインの準備金として保有される預金に対する、**パススルー連邦預金保険の適用方針**を明確化。ただし、ステーブルコイン自体は連邦預金保険の対象外となる一方、法定要件を満たす**トークン化預金は他の一般預金と同等に扱われる**ことも明記された。
4. 大規模発行体への追加義務
**時価総額500億ドルを超える大規模発行体**には、前年の営業費用に基づく運営上のバックストップ(資本緩衝材)の維持と**年次監査の実施**を義務付ける。
利回り提供の制限
本規制案により、発行体がトークンの保有自体に対して**利回りを提供していると宣伝することは原則として制限**される。これは現在議論中のクラリティー法案(市場構造法案)の解釈とも密接に関連する問題で、ステーブルコインが証券に該当するか否かという根本的な議論にも影響を与える可能性がある。
規制整備の背景と業界への影響
FDICによるジーニアス法関連の規則制定は今回が2回目となる。1回目は昨年12月に、IDIが子会社を通じてステーブルコイン発行承認を求める際の手続きを定めた。トラビス・ヒル議長は、伝統的金融機関(TradFi)の参入を背景に、トークン分野に対する連邦政府の姿勢が大きく転換したと繰り返し指摘してきた。
現在、米国ではOCC(通貨監督庁)や財務省もステーブルコインに関する一連の規則を公表しており、各政府機関がジーニアス法の実施に向けた動きを本格化させている。FDICは連邦官報への掲載から**60日間、144項目にわたるパブリックコメント**を募集する予定だ。
今週後半には米議会が再開される予定で、銀行業界と仮想通貨業界の見解の相違がクラリティー法案の議論でどのように調整されるかが焦点となる。世界最大の金融市場である米国でのステーブルコイン規制の明確化は、日本を含む各国の規制整備にも大きな影響を与えることが予想される。
日本への示唆
日本では2023年の改正資金決済法によりすでに電子決済手段(ステーブルコイン)の規制枠組みが整備されている。米国が規制面で日本に追いつく形になりつつある中、グローバルな規制ハーモナイゼーションの観点からも両国の動向に注目が集まる。