FRB理事がステーブルコインの「償還リスク」を警告——米規制法案、利回り条項で成立確率3分の1に

米FRBのマイケル・バー理事がステーブルコインの償還体制整備を訴える一方、利回り規制を巡る対立でクラリティー法の年内成立確率は約33%と投資銀行TDコーウェンが分析。コインベースは今年2度目の支持撤回を表明した。


FRB理事が「1対1償還」の重要性を強調

米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー理事は2026年3月31日、ステーブルコインが安全に機能するための償還体制整備が金融システムの安定に不可欠であるとの見解を表明した。

バー理事は、過去の民間通貨が不十分な保護策により混乱を招いた歴史を振り返り、**「ステーブルコインはストレス時でも米ドルと1対1で即座に償還できる信頼性を確保することが重要だ」**と指摘した。また、発行体が利益最大化のために準備資産の運用リスクを高める可能性を問題視し、準備金の透明性と流動性確保を強く求めた。

クラリティー法、利回り規制で暗礁に

今回の発言は、米議会で審議中の**「クラリティー法(仮想通貨市場構造法案)」**をめぐる議論が難航する中で行われた。

最新の修正案ではステーブルコイン保有に対する**「受動的な利回り」の提供を禁止**しているが、この条項はコインベースの収益モデルを大きく損なう懸念がある。

各プレーヤーの立場

| プレーヤー | 立場 |

|---|---|

| **FRB・規制当局** | 利回り禁止支持(金融安定性の観点) |

| **コインベース** | 利回り制限に反対、今年2度目の支持撤回(3月26日) |

| **JPモルガン等銀行業界** | ステーブルコイン報酬に反対(預金流出の懸念) |

| **上院銀行委** | 4月後半の委員会採決を調整中 |

投資銀行が分析する「33%の確率」

投資銀行TDコーウェンのジャレット・ゼーバーグ氏の分析によれば、利回り制限の影響でクラリティー法の**年内成立確率は約33%**(3分の1)に過ぎない。

ゼーバーグ氏は「8月の議会休会前が前進のラストチャンスであり、5月までに不成立となった場合は2027年以降に持ち越される可能性が高い」と指摘している。

今後のスケジュール

米連邦議会は現在イースター休暇中だが、上院銀行委員会のティム・スコット委員長が**4月後半の委員会審議(マークアップ)**に向けて水面下で最終調整を続けている。

未解決の主要項目は以下の通り:

  • ステーブルコインの報酬体系(利回り可否の線引き)
  • DeFiプロトコルの分類
  • トークンの有価証券・商品分類基準
  • スティーブ・ラミス上院議員は、コミュニティ銀行の保護とステーブルコイン報酬の両立を目指す超党派の合意形成に取り組んでいると明かしている。

    なぜ規制が重要か——日本への示唆

    米国の規制動向は日本市場にも直接影響する。日本では2023年の改正資金決済法によりステーブルコイン発行の法的枠組みが整備されているが、米国の利回り規制の議論は日本の「報酬型ステーブルコイン」をめぐる今後の制度設計にも参考事例として影響する可能性がある。

    昨年可決済みの「ジーニアス法(ステーブルコイン規制法)」とクラリティー法が両立してはじめて米国の包括的なデジタル資産規制が完成する。今後数ヶ月の議会動向が、グローバルなステーブルコイン規制の方向性を左右する重要な局面となっている。