日本のRWA・不動産STトークン化、2026年に1兆円超え視野——Progmat代表が語る国内市場の強みと投資家が見るべきポイント
国内セキュリティトークン(ST)市場が2025年末時点で約5,800億円・75案件に達し、2026年には1兆円・100案件超が見込まれる。Progmat代表取締役・齊藤達哉氏らが、RWAトークン化の最前線と投資家が注目すべき「価値の源泉と表章の結節点」について解説。
日本のST市場が1兆円に迫る
国内セキュリティトークン(ST)市場が急速に拡大している。ブロックチェーン基盤の証券管理インフラ「Progmat(プログマット)」を運営するProgmat株式会社の代表取締役CEO・**齊藤達哉氏**によれば、国内ST市場のAuM(運用残高)は**2025年末時点で約5,800億円・75案件**に達しており、**2026年には1兆円・100案件超**が見込まれている。
不動産STを中心に成長が加速
国内市場の中心を占めるのは「不動産ST」だ。不動産を受益証券発行信託というビークルで受益権化し、その証券(Security)をオンチェーンで管理する仕組みで、法的に整合性のある日本独自のアプローチが特徴だ。
齊藤氏は、コモディティ(不動産そのもの)とセキュリティ(証券)を明確に区別して議論することの重要性を強調する。「国内で既に大きく伸長している不動産STも、大元の対象アセットは不動産(Commodity)だが、受益証券発行信託というビークルを用いて不動産を受益権化し、この証券(Security)をオンチェーンで管理している」と説明。
日本の「強み」——マスリテール投資家へのアクセス
海外のRWA・ST市場は認定投資家(機関投資家・プロ法人)向けが中心だが、日本は証券会社口座を持つ**一般(マスリテール)投資家向けに発展**してきた点が大きな差別化要因だ。
海外ST市場規模(Stable Coinを除くRWA)は2025年末時点で約350億ドル(約5.4兆円)で、主にUS Treasury(米国債)やMoney Market Fund(MMF)が中心。一方、日本は規模こそ小さいものの、不動産収益を源泉とした利回り商品を一般投資家向けに提供する独自の発展を遂げてきた。
投資家が注目すべき「源泉と表章の結節点」
齊藤氏が投資家に向けて強調するのは、RWAトークン化における**「価値の源泉」と「表章(トークンデータ)」の結節点を理解することの重要性**だ。
「Bitcoinや Ethereumといったクリプトアセットと違い、STにおけるトークンデータはあくまで価値の『表章』であって、『源泉』自体は別にある。語弊を恐れずに言い換えると、価値の源泉と法的に確り紐づいていなければ、トークンデータそれ自体には何の価値もない」と指摘する。
海外の"トークン化株式"の中には実際の株式との法的な繋がりがない案件も散見される点を警告しつつ、日本の受益証券発行信託スキームはこの「源泉と表章の結節点」として機能する信託の役割が明確に定義されているとした。
2026年以降の展望:オンチェーン決済との連携
今後の重要なテーマとして、**ステーブルコインとのDVP(配送対払い)決済による24時間取引**の実現が挙げられる。現在の証券決済は業務時間に制限されているが、円ステーブルコイン(JPYCや銀行発行デジタル円など)との連携により、リアルタイム・24時間対応の証券取引が技術的に可能になる。
グローバルでは米国のGENIUS ActやClarity Actが規制の明確性をもたらし、NYSEやNasdaqなどTradFi(伝統的金融)大手がSTに本格参入し始めている。2021年から規制整備を進めてきた日本は、この動きと歩調を合わせながら、国内外の投資家を取り込む絶好のポジションにあると言えるだろう。