ステーブルコイン流通速度が2年で倍増——スタンダードチャータード銀行が報告、2028年に2兆ドル市場へ

スタンダードチャータード銀行の最新レポートによると、ステーブルコインの月間平均回転率が約6回と2年前の2倍に急上昇。USDCがAI決済や既存金融の代替需要を牽引し、2028年末には市場規模2兆ドルに達するという従来予測を維持している。


流通速度2年で倍増——「速度」が新たな成長指標に

スタンダードチャータード銀行は2026年3月31日、ステーブルコインの流通速度が過去2年間で2倍に急上昇したとする最新レポートを公開した。トークンの月間平均回転率は約**6回**に達しており、同行の長期予測における基本前提を大幅に上回るペースで推移している。

同行デジタル資産研究部門責任者のジェフリー・ケンドリック氏は、流通速度の上昇により新規発行の必要性が抑制される可能性を指摘しつつも、**2028年末までにステーブルコインの時価総額が2兆ドルに達する**という強気予測を現在も据え置いている。

USDCが牽引するふたつの新需要

今回の流通速度急上昇は主にサークル社の**USDC**がけん引している。

既存金融の代替需要

ソラナ(SOL)やベースネットワーク上でのUSDCの活動が顕著で、2024年半ばからテザー社のUSDTと乖離し始めた。2025年夏の「GENIUS法」成立後は連邦規制枠組みのもとで既存の金融システムを代替する需要を加速させている。

AIエージェントによる決済利用

コインベースの「x402」プロトコルを通じたAIエージェントによる自律的な決済利用が新たな需要として台頭している。ケンドリック氏は「これらの新用途は既存の現物保有市場を侵食するのではなく、純粋な新規需要を創出している」と分析する。

USDTとUSDCの「用途の分極化」が鮮明に

依然として新興国での貯蓄手段として主流なテザー社のUSDTの流通速度は、USDCとは対照的に安定した低水準を維持している。これにより大手2銘柄の役割分担が明確化した。

| ステーブルコイン | 主な用途 | 流通速度 |

|---|---|---|

| **USDT(テザー)** | 価値の保存・新興国での貯蓄 | 安定した低水準 |

| **USDC(サークル)** | 決済・既存金融の代替・AI自律決済 | 急上昇(月約6回転) |

米国債への1兆ドル規模の追加需要

市場の拡大に伴い、準備資産として米国債への追加需要は今後**1兆ドル規模**に達するとスタンダードチャータード銀行は予測している。これはステーブルコインが単なる暗号資産市場の話題を超え、米国の財政・債券市場にも影響を与える存在へと成長していることを示唆する。

著名投資家も注目

著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏は「今後15年以内にステーブルコインが世界の決済システムの基盤になる」と述べ、法定通貨ペグ型トークンについて「伝統的な送金インフラよりも効率的でコストパフォーマンスに優れた生産的なツール」と高く評価している。

スタンダードチャータード銀行は今後、決済や資本市場、さらには自動化された取引領域における「速度」が市場成長の重要指標になると引き続き注視するとしており、ステーブルコイン市場の次の局面は発行量よりも「いかに速く、広く使われるか」にかかっているとみられる。