米ホワイトハウス、ステーブルコイン利回り禁止は効果ゼロと反証——銀行融資増加はわずか21億ドルとCEAが算出

米ホワイトハウス大統領経済諮問委員会(CEA)が、ステーブルコインへの利回り付与を禁止しても銀行融資の保護効果はほぼゼロと定量分析したリポートを公開。銀行業界が主張する「1.3兆ドルの預金流出」論に真っ向から反論し、クラリティー法案の審議に大きな影響を与えている。


米ホワイトハウス、ステーブルコイン利回り禁止の効果を定量反証

米ホワイトハウス大統領経済諮問委員会(CEA)は2026年4月8日、**ステーブルコインへの利回り付与が銀行の信用活動に与える影響**をまとめた調査レポートを公開した。分析の結論は明快で、銀行業界が強く求める「利回り禁止措置」は銀行融資の保護にはほぼ寄与しないというものだ。

「1.3兆ドル流出論」をデータで否定

2025年7月に成立した**ジーニアス法(GENIUS Act)**は、ステーブルコイン発行体による直接の利回り付与を禁じている。さらに現在審議中の**クラリティー法案(CLARITY Act)**でも、利回り付与の是非が最大の争点となっており、米国独立地域銀行協会(ICBA)など銀行業界は以下の警告を発してきた。

  • 利回りが解禁されれば**最大1兆3,000億ドルの預金が流出**する
  • その結果、**8,500億ドルの融資減少**につながる
  • しかしCEAの独自モデル分析は、この主張を根底から覆している。ステーブルコインの利回りを完全に禁止した場合でも、**増加する銀行融資額はわずか21億ドル(融資全体の約0.02%増)**にとどまると算出。一方で消費者側には**8億ドル規模のコスト増加**が発生するため、利回り禁止の法制メリットは極めて薄いと結論づけた。

    ステーブルコイン準備金の88%は既存金融システム内

    この分析の根拠となっているのが、**ステーブルコイン準備金の約88%がすでに国債や銀行預金として既存金融システム内に還流している**という需給構造だ。利用者の資金がステーブルコインに移動しても、準備金の大部分がシステム内に留まるため、銀行業界が警戒するような大規模な信用収縮は生じない——というのがCEAの論理だ。

    クラリティー法案の行方に影響

    CEAの客観的データは、銀行業界と仮想通貨業界の対立構図に直接的な影響を及ぼすとみられる。コインベース(Coinbase)はすでに利回り禁止条項に強く反発しており、1月には上院銀行委員会でのクラリティー法案審議が延期に追い込まれた。

    3月には複数の上院議員から「特定の報酬プログラムに限定する」という妥協案が提示されたが、仮想通貨業界から支持を得られず頓挫している。予測市場ポリマーケットにおける同法案の**年内成立確率は年初の90%台から現在は60%台まで低下**しており、議会における法制化は依然として不透明な状況が続いている。

    中間選挙が本格化する2026年8月までに上院で可決できるかどうかが最大の焦点となっており、今回のホワイトハウス分析は法案審議を再加速させる論理的根拠として機能することが期待される。